数字のカラクリを見抜け!/吉本 佳生(2011)

~内容紹介から

ビジネスはもちろん、日常のあらゆる場面で活用されている「データ」や「グラフ」。(中略)誰もが思わずひっかかってしまいがちな19のポイントから数字のカラクリを見抜く方法を説くもの。

 

という訳で、新書のライフハック本2冊目です。私はツイッターを多用するのですが、リツイートで「〇〇テレビで使われていたグラフがおかしい」等といったデータへの突っ込みがなされているのを見かけることがあります。指摘内容を読めば、なるほどそうやなと頷けるのですが、果たして指摘されるまで自身が気付ける自信はありません。また、金融機関職員という職業柄、お客様の決算内容や経済情報といったデータをよく取り扱うので数字に対して強くなりたいという思いは以前からありました。何かの足しになればと思い、この本を手に取った次第です。

 

〇本書のテーマ…作成者の恣意によって、データやグラフは様々な見せ方ができる。そういった「カラクリ」の仕組みを解説する。

本書で学べるカラクリは大まかに分類すると5点に分けられます。

  1. 期間
  2. 変化率
  3. もう一歩踏み込んだデータにアクセスする
  4. 確率
  5. 指標の意味をきちんと理解する

以下で整理します。

  1. 期間について

比較する期間がおかしければ、分析に成りえないというものです。例えば金融商品であれば、満期が10年物なのに、平均利益率のデータを直近3年でしか見ていないといったものです。また、1~3月の3か月と3~6月の3か月の比較では季節が違い(冬~春、春~夏)、季節要因のために単純比較ができないという例も記されていました。

  1. 変化率について

ここも比較対象の話です。例えば、年率〇%と単月〇%は違う(当然ですが)といった内容です。また、見る人によって「伸び率5%」という文字列の見え方も全く違う。例えば日本の経済成長率5%と、中国の経済成長率5%は同じ伸び率なのに受け取る印象は全く違う…といった具合です。

  1. もう一歩踏み込んだデータにアクセスする

本書では「もう1段階細かいデータをみる」と書かれています。私は、グラフ作成元になった原データの事を指すと読み替えても良いと思います。グラフは作成者が見せたいように作れる加工データである訳ですから、疑問符がつくのならば生のデータに当たって真相を確かめるのが騙されないために有効であると書かれています。

  1. 確率

本書ではサイコロを使った賭けの話が例示としてなされていましたが、確率についての基本的な知識がないと、正しい計算が出来ずに騙されてしまうということが書かれていました。確率については特に自信がありません。確率の基礎の勉強をするために、別の本を借りて読もうと思います。

  1. 指標の意味をきちんと理解する

「失業率」や「国際経常収支」といった指標を用いて話をする際に、その言葉の意味をきちんと理解していますか?というお話です。これは仕事にも通じる点がありますが、自分が分かっている商品・サービスでないとお客さんに説明してもしっくりきません。質問されても答えられないという情けない事態も発生します。

 

〇まとめ

・約220頁程度のライトな新書でしたが、動機付けには丁度よい本だと感じました。本当に数字に強くなるには別書で更に理解を深めたりしなければならないと思います。