世界一わかりやすい金利の本/上野泰也

この本は、難しい専門用語はかみ砕いて説明し、身近な具体例を織り交ぜながら「金利」という重要なマーケットについてまとめたものです。――「はじめに」より

 

ここ日本では低金利が続いており、銀行に勤めている身としては中々つらいものがあります。不景気の時は分かりませんが、比較的好況のタイミングだと顧客にとって銀行の違い=金利が高いか安いかの違いになっていることが往々にして多く、オーバーバンキング×マイナス金利の状況が掛け合わさって銀行間の金利引下競争が止まりません。その中で、各銀行はコンサル業務であったり手数料ビジネスであったり事業性評価だったりと各々差別化を図るべく模索している…というのが私なりの現在の銀行業界の概観です。ただ一方で、従来から銀行員が行ってきた決算書を読み審査を行う、景気の先行きについて意見交換をする等の業務は基礎として欠かせません。そういった中で、金貸商売のおまんまのタネである金利について今一度改めて勉強しようと思い、この本を手に取った次第であります。

 

※今回は久々に電子書籍で読みました。以下は知識として必要だと思った事項についてメモ書きとして羅列していきたいと思います。

 

インターバンク市場(金融機関間の資金取引を行う市場)の中心がコール市場(銀行が短期的な資金の過不足を調整する市場)。取引の中心は「無担保コール翌日物」。無担保で資金調達し、翌日に返済する。ちなみにH31.1.29の平均レートは-0.064%となっている(引用元:http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/mp190129.htm)

 

・金融機関以外も参加できる短期金融市場で主なものは5つ。譲渡性預金証書の売買が行われるCD市場、CP(優良企業の短期社債)を売買するCP市場、TDB(国庫短期証券=短期割引国債政府短期証券)を売買するTDB市場、債券レポ(現金担保付債券貸借取引=現金を担保として債券を貸し借りする取引)市場、債券現先市場。

 

長期金利の指標は「新発10年物国債」(新たに発行された償還期間10年の国債で、発行時期が一番新しいもの)の利回り。新発の条件は直近の新発債権の流通利回り等を参考にして決められるため、新聞で書かれる「長期金利」は、一般に「新発10年物国債の流通利回り」を指している。ちなみにH31.1.29の終値は-0.005%となっている(引用元:http://www.bb.jbts.co.jp/marketdata/marketdata01.html)

 

 

 

・債券価格は…

 需要が強い→債券価格上昇、流通利回り低下

 供給が強い→債券価格下落、流通利回り低下

 

長期金利の動きについて…

 物価安定、金利維持の見通しが強ければ新発10年物国債が売れて価格上昇、利回り低下(=長期金利低下)

 インフレ発生、金利上昇の見通しが強ければ新発10年物国債が売れず価格下落、利回り上昇(=長期金利上昇)

 

・旧公定歩合は現在はコール市場の上限金利の役目を果たしている。現在は「基準割引率および基準貸付利率」に名称が変更。現在は0.3%で2008年から据置になっている様子(引用元:https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/discount/discount.htm/)。コール市場の平均レートがマイナスの現状においては、あまり意味をなしていないのかも?

 

・将来の金利を予測するには「イールドカーブ(利回り曲線)」の考え方が役に立つ。異なる金利の水準を期間の短い方から長い方へを結び、一つの線にしたグラフ。順イールドは右肩上がりの曲線で、将来金利が上がると予想する人が多い場合に描ける。逆イールドは順イールドの逆。バブル経済崩壊後の日本、ギリシャ危機のタイミングでは逆イールド現象が発生している。ちなみに現在の日本は順イールドとのこと(引用元:https://www.nikkeiyosoku.com/yield_curve/)

 

イールドカーブコントロールとは…日銀が行っている金融緩和。短期金利はマイナス金利を適用(当座預金政策金利残高に-0.1%の金利を適用)し、長期金利は10年物国債利回りが0%程度で推移すするよう借入を行う。これによって、長短金利差を一定の範囲内に収め、長期・超長期の金利が下がりすぎるのを防ぐことができる。

 

・新規国債のほとんどは市中消化で買われている。入札制度を採用しており、「プライマリー・ディーラー制度」を設けており希望する大手証券会社や大口投資家を指定。発行予定額の5%以上を応札、②一定割合以上を落札するなどの義務があるものの、国債市場特別参加者会合に出席できる等のメリットもある。平均落札価格と最低落札価格の差を「テール」と言い、テールが小さければ入札は好調な結果だったと言える。もし、最低落札価格が市場の事前予想よりも大幅に低いような低調な入札結果になると、市場で債券を売る動きが活発になる可能性が高まる。そうなると長期金利が上昇する可能性が出てくる。

 

 

〇まとめ

 今回は金利にまつわる知識定着が記事の目的ともあり、メモ書きとなってしまいました。